彼はこう言った。
彼らは何も知らない。幸せな人たちだね。
* * *
危機に瀕したある小組織での話。
その組織は、極めて厳しい状況に置かれている。数年後には組織が存在しないかもしれない。まさしく、存亡の危機。
にもかかわらず、危機感のない構成員。もう一度失態を繰り返せば、本人のみならず、全員が居場所を失うというのに。
冒頭の言葉は、それを見ていた、ナンバーツーの言葉。
* * *
組織の構成員ではない私には、他人事にしか思えなかった。その時は。
同じようなことがこの国全体で起こっていることに気づくまで、そんなに時間はかからなかった。