
原発事故以降、「ひばく」という語を耳にすることが多くなった。しかし、「ひばく」には「被爆」と「被曝」があり、「ひばく」という音が同じため情報を受け取る側としては紛らわしい。さらに後者は「曝」が常用漢字でないことから「被ばく」と書かれる事もあり、こうなるとどちらであるのか区別しにくい。
そのため、被爆と被曝について、簡単にメモ程度にまとめておく。
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広辞苑第六版によると、それぞれの意味は以下の通り。
ひ‐ばく【被爆】①爆撃をうけること。②特に、原水爆の被害を受けること。放射能を受けること。
ひ‐ばく【被曝】放射線にさらされること。
ややこしいのが、原水爆から生じた放射線を浴びた場合でも「被爆」と表現することがあることだ。広島・長崎の投下後の市街地に入って放射線を浴びた場合や、黒い雨等で間接的に放射線にさらされた場合、第五福竜丸の乗組員が死の灰を浴びた例なども、「被爆」と表現されている場合がある。そのため、広辞苑でも「被爆」の項に「放射能を受けること」と書いているのだろう。
基本的には、「被爆」は爆撃(特に核兵器の被害)を受けること、「被曝」は放射線を浴びることである。
- 被爆:核兵器の爆撃を受けること
- 被爆の自覚:あり
- 爆風:あり、即死する場合も
- 熱戦:あり、即死する場合も
- 放射線:あり、線量が高いと即死、低線量であっても健康被害の可能性あり
- 被曝:放射線を浴びること
- 被爆の自覚:無自覚の場合もありうる
- 爆風:なし
- 熱線:なし
- 放射線:あり、線量が高いと即死、低線量であっても健康被害の可能性あり
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混同して使っている例をまだ稀に見かけることがある。本当は同じ読みではない別の語に置き換えるのが良いと思うのだが、日本語では残念ながら、「被爆」と「被曝」で定着してしまっている。ところが、
被爆 bombed with atomic weapon
被爆者 atomic-bomb victims
被曝 exposure to radiation
こんな用例を見つけた。英語の用法を賛美する意図は無いが、日本語では「ひばく」の三音節にあまりに多くのマイナスイメージを詰め込みすぎているように感じる。それが、物事の正確な理解を妨げていないとよいのだが。